『西部二人組』作品解説ノート

(戸田雅紀『テレビジョンエイジ1978年3月号』より)

解説

hhkc72.jpg  小説に映画に、果てはオペラにまで取りあげられ語りつくされて来たかに見える 開拓期の西部。これを従来の西部劇のようにアクション主体ではなく、ユーモラス でちょっぴり物哀しいフィ―ドルの音色のようなタッチで描いている点がこのシリ ーズ最大の特徴といえるでしょう。
 原案および代表制作者はロイ・ハギンス…と いっても、ヤングにはお馴染みではないかも知れませんが、 かつてのTV西部劇黄金時代に、ワーナー・プラザースの看板番組だった『マーべリック』の 制作者…といえば、オールド・ファンは「なるほど」と合点されたに違いありません。 今をときめく ジェ―ムス・ガーナー、 ジャック・ケリー、ロジャー・ムーアーが、西部を渡りあるくギャンプラーの兄弟と従弟 に扮し、腕力やガンプレイよりももっぱらオツムの回転の方で活躍する――といっ た内容で、『西部二人組』同様、たいへんソフィスティケーショナルな作品でした。
 主演はピート・デュエル…といえば、これもオールド・ファンにはつとにお馴染 みのスター。このシリ―ズに出演中、1971年12月31日に謎の自殺を遂げましたが、 ハンニバル・へイズ役にはうってつけのキャラクターで、今もってヤングのアイド ルです。
 ジョーンズことジェド・キッド・カーリーに扮するべン・マーフィはTVシリー ズ『ネーム・オプ・ザ・ゲーム』に出演中、プロデューサーのロイ・ハギンスに見 出されてのレギュラー起用。『西部二人組』終了後は、76年度シーズンのSFシリ ーズ『ジェミニマン』やTVM『新説・西部英雄伝』などに出演、TV界の中堅ス ターとして活躍中です。
 共同制作者のジョー・スターリング・ジュ二アは『マーカス・ウェルビー』や 『外科医ギャノン』とならぷ69年度3大良心番組のひとつ、『The Bold Ones』の制 作者として知られ、ロイ・ハギンスとは永いお付き合いの親友同士です。
 プロデューサーのグレン・A・ラーソンはキャリア豊富なベテラン。ABCネット ワークの『Movie of The Week』の脚本兼制作を担当したり『スバイのライセンス』 『ヴァ―ジニアン』の脚本兼プロデュ―サ―としても活躍、また『頭上の敵機』 『逃亡者』などの脚本も執筆。

制作ノート

 制作はユニバーサルTVとパブリック・アーツの共同。 70年1月13日から『マット・リンカーン』の後番組として登場、73年1月13日まで放 送されました。ネットワークはABC。日本語版の声の 担当は新克利(へイズ)。 江守徹(カーリー)。
(※ロジャー・デイヴィスのヘイズは、高山栄。)

物語

hhkc75.jpg  悪党ではありながら、根っからの悪人ではなく、その性格のなかには常に善と悪 とが同居し、天真らんまんで身近かな親しみと人間くささを持った愛すべき二人組 が主人公。
 19世紀末、文明の発達と共に西部の大荒野も次第に所をせばめ、野牛や無法者が 横行していた時代は、ようやく終りを告げようとしていた。
 ハンニバル・へイズ(ピート・デュエル)とジェト・キッド・カーリー(べン・ マーフィー)の二人は、無法者の時代が終ろうとしていることにいち早く気付き、 新しい時代に生きのびるためには「まず、生活転換を……」とお尋ね者の身にもか かわらず、殊勝なことを思うようになりました。理論家で指導カもあり、統率力も あるへイズは、お尋ね書きにまで「明かるく好感の持てるタイプ」と書かれるほど。 ガンマンとはいえ、早射ちで鳴らすというほどではなく、ガンを抜くよりは素早い 頭の回転で事を納めるというタイプです。ポーカーが滅法強い。
相棒のキッド・カーリーは、へイズとは極わめて対照的な性格で、無駄口はたたき たがらない真面目型。言動もスロ―。しかし、いったん事ある時は抜群のガンさば きをみせ、豹のような精敢な活躍をします。
 二人は「大赦」で多数の無法者が出所して来ることに目を付け「ここに自分たち の生きのびる道がある」と、早速、自分たちの願いを知事に申し出ます。鉄道と銀 行の警備は知事にとっても頭の痛い所。
 しかし、この二人の無法者あがりをどこまで信用してよいやらわかりません。 そこて知事の考え付いたのが、―年間というもの二人を厳しい監視下に置き、二人 が信用できる人間か否かを見極わめ、その上で二人の処遇……赦免か否かを決しよ うというもの。そして慣れ合いを防ぐため、この契約はあくまても内密にしておく という条件をつけました。
 もちろん昔の仲間と付き合うこともガンを抜くことも許されません。例えどんな 事が起き、どんな立場に追い込まれようともです。こうして、スミスとジョーンズ と名を変えた二人、まことに間尺に合わない平担ならざる道を歩み出すことになっ たのですが…‥。

 さて、ゲスト・スターですが、持ち駒豊富なユニバーサル作品だけにお馴染みの スターが大勢登場し、まことに壮観です。
 主なスターを紹介すると――ハリウッド長老格のウォルター・ブレナン、 パール・アイプス、シーザ・ロメロが、準レギュラーといってもよいほど、 ひんぱんに登場するほか、
『ロデオ』のアール・ホリマン、
テキサン』のロリー・カルホーン、
マーベリック』のジャック・ケリー、
べン・ケーシー』のサム・ジャフェ、
『巨人の惑星』のダイアナ・ハイランド、
『すてきなケティ』のウイリアム・ウィンダム、
『おしやれ探偵』のパトリック・マク二一、
『すてきなナ二―』のジュリエット・ミルズ、
『熊とマーク少年』のべス・プリッケル、
『かわいい妻ジュリー』でピートと共演のジュディ・カーン、
『鬼探偵マニックス』のジョー・キャンバネラ、
ラッシー』のジェーン・ワイヤット、
いたずら天使』のサリー・フィールド
『特捜刑事サム』のハワード・ダフ、
『西部の三匹』のネビル・ブランド、
『ピーター・ガン』のクレイグ・スティーヴンス、
『バロン』のスティーブ・フォーレスト、
『青春の河』と『ルート66』のグレン・コーべット、
バークレイ牧場』のリー・メジャース、
バットマン』のアダム・ウエスト、
『インターン』のブロドリック・クロフォード、
『ハイシャバラル』のキャメロン・ミッチェル、
サンセット77』のエド・バーンズ、
バージニアン』のジェームス・ドラリー、
バークレイ牧場』のピーター・ブレック、
その他まだまだTVシリーズの主演クラスが顔を出し数え出したらキりがありません。 今までに制作されたTVシリーズのなかでは『
0011/ナポレオン・ソロ』と ならんで、最大の豪華ゲスト陣といえるでしょう。

●アメリカ地方紙にみる『西部二人組』スタート時の評判●

ロスアンゼルス・タイムズ

1971年1月4日号

かって『マーベリック』を制作したロイ・ハギンズの作品。その『マーヘリック』以来、もう一度、コメディ調の西部劇をつくりたい・・・と彼は念願してきた。ハギンズはかなり適格にギャンブラーとしてのガンマンをとらえている。主人公の一人、スミスを演じるピート・デュエルによれば「スミスはポーカーをするために生まれてきた男」である。デュエルにとって、これは三作目のレギュラー・シリーズにあたり、『キジエット』『可愛い妻ジュリー』と今までコメディばかりに出演してきた彼が、この特異な西部劇でどんな演技をみせるか大いに興味をそそられる。彼は、『可愛い妻ジュリー』に出演後、ユニバーサルと契約した時にコメディではなくシリアス・ドラマを専門にする予定だった。そして『ドクター・ウエルビー』ほか数本の作品で見事に念願を果たした。だが、この『西部二人組』こそ、彼の俳優としての真価が問われる作品になるだろう。

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