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Teaser: |
真昼の静かな光の中に、牧歌的ともいえる風景が広がる。不意にその静けさはコ ットンウッド銀行の中からの轟くような音で破られる。早まった独立記念日のお 祝いかそれとも国有ライフル協会の集まりなのだろうか。ドアが乱暴に開けられ 、二人の命知らずの男が出てきてこちらに向かってくる。彼らは評判の悪い二人 組みで、名前はマッグズ・マギーフとハンク・シルバーズ。3つの州でお尋ね者 であり、3つ目の州はユタ州で、つい最近リストに加えられたばかりである。そ してその音はおそらく逃げ惑うその二人の男、銃はあるが頭がからっぽのその男 達を狙ったものであろう。その様子はマギーフとシルバーズが馬を置いた路地か ら見える。二人は自分たちの馬にたどり着き、素早く馬に乗った。二人が路地を 荒っぽく走り去る時、顔は汗だくで恐怖におののいていた。二人が行ってしまう と6人ほどの人の声が二人にののしりや忠告の言葉をを叫んでいるのが聞こえ、 その後に馬に乗った追っ手が二人を追っていた。と、ここでマッグズとハンクの 顔が良く見える。次に見る時まで二人の顔をよく覚えておこう。 |
Opening Theme: |
「1800年代も未近く、アメリカは西部で大変に悪名を馳せたハンニバル・へイズとキッド・カーリーと申します無法者がおりました。....」 |
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カーリーとヘイズは馬に乗って砂漠を通っている。二人の前ではマロニー・ステ
ビンスという年老いた男が4輪荷馬車に着いている馬具を調節している。 カーリー:(マロニーを追い越す時に)やあ。カーリーは親しみのある笑顔でそう言ったが、マロニー・ステビンスの年老いた顔の表情が素早く、そして不吉に変化したので、その笑顔は露と消えていった。 カーリー:「あのじいさん、俺たちのこと気付いたのかな? どう思う?」 ヘイズ:「さあ、どうだかね。気付いたかもしれねぇし、気付いてないかもしれねぇな」
二人の後ろでステビンスは荷馬車に乗り込み、違う方向に向かって行った。ヘイズとカーリーは馬に拍車をかけて走らせる。二人は砂漠の岩山と砂山を駆け抜け、後ろに埃の山を残していった。
ヘイズとカーリーはセイジャーズという町に入り、馬小屋に入っていった。その馬小屋の所有者は中で仕事をしていた。 ヘイズ :「ここを3人の男が通らなかった?」 二人は馬を降り、汗をかいて疲れている馬から引き具を外した。 所有者 :「3人の男だって? さぁ知らねぇな。セイジャーズはそんなにでか いところじゃねぇ。何か特別なやつなのかい?」 カーリー:「お尋ね者なんだ! この辺を通ったはずなんだけどな。新しい馬が 欲しいんだけど、この2頭と5ドルでどう?」 所有者 :「あんたらお役人かい?」 ヘイズ :「その代理人だよ」 所有者 :「もう6ドル出しゃ、交渉成立だがね」 ヘイズとカーリーはもう新しい馬にサドルを乗せかけている。 へイズ :「よっしゃ、交渉成立!」 カーリー:「馬は貸したりしてるの?」 所有者 :「貸す、だって?」 カーリー:「そうさ、例えば一時間いくら、とかで」 所有者 :「一時間ねぇ・・・」 カーリー:「いや、もし貸してもらえるんなら一時間いくらかなぁ?」 所有者 :「そうさなぁ、一時間なら50セントってとこかね」 ヘイズ :「こいつも交渉成立だ!」 二人は馬屋を開け、外にいる馬全部を追いかけた。 所有者 :「おまえら、何やってるんだ!? 俺の馬をどうしようってんだ? そんなことするな、やめろって!」 ヘイズ :「全部借りるんだよ、払ってやれよ、カルザーズ!」 所有者 :「待てって、何してるんだよ?」 ヘイズとカーリーは2頭の新しい馬に乗り、馬小屋の外に出た。カーリーは馬小 屋の所有者を通り過ぎるとき、少し止まって少しお金を渡した。 カーリー:「ちょいと一時間ばかし走らせてくるよ。これで充分だと思うけど? 」 彼は馬をけり、ヘイズの後を駆け出した。二人は砂漠を走っていった。 副保安官のワームサー率いる一隊がセイジャーズの馬小屋に乗り入れてきた。 さっきの所有者が中にいる。 ワームサー:「ここを二人の男が通らなかったか?」 所有者 :「二人? 三人でしょう?」 ワームサー:「いや、二人だ。キッド・カーリーとハンニバル・ヘイズだ!」 彼は回りを見回し、空っぽの馬屋を見つけた。 ワームサー:「馬は一頭もいないのか?」 所有者 :「10分前までは確かにいたんだよ。でもやつらが持ってっちまった んだ」 ワームサー:「で、こんなことをするのはどこのどいつだい?」 所有者 :「キ、キッド・カーリーとハンニバル・へイズだってのかい?」 汽車がやってきて、給水のために止まった。ヘイズとカーリーは木立の後ろの方 にしゃがみこんでいる。追っ手は砂漠を駆け抜けている。汽車は給水をしている 最中である。汽車はようやく動き出し、ヘイズとカーリーは扉の開いている貨車 に向かって走り出した。カーリーはドアを閉じた。埃まみれのうすよごれた男が 木枠の後ろで床に縮こまっている。ハリー・ブリスコーだった。ハリーは少し動 いて、それから木枠の上から覗いた。 ハリー :「お前ら! こんなとこで何をしているんだ?」 ヘイズとカーリーは貨車の中に他に誰かいたことに驚き、近くによってそれがハ リーだと確認した。ハリーはまだ木枠の後ろにいる。 カーリー:「ハリー? ハリー・ブリスコーか? ハリーよぉ、俺たちが何して るかくらい、お前さんならわかるだろうが。逃げてんだよ」 ヘイズとカーリーはハリーの前でしゃがんだ。 ヘイズ :「おめぇがこんなとこで何してんのかが知りたいよ」 ハリー :「世の中狭いもんだな?」 カーリー:「お前さんにはそんなこと言ってもらいたかなかったよ、ハリー」 カーリーは帽子を脱ぎ、木枠のてっぺんに放った。 追っ手は鉄道線路にたどり着いた。彼らは振り返り、汽車を追って線路に沿って 走り出した。 ヘイズ :「ハリー、こんなとこで何してんだ?」 カーリー:「今度は何があったんだい、ハリー?」 ハリー :「別に・・・ただ首になったんだよ」 カーリー:「そりゃまたどうして?」 ハリー :(いらついて)「役立たずなんだと! 信じられるか? このハリー ・ブリスコー様が役立たずだとさ!」 ヘイズ :「ハリーよぉ、そいつぁ信じられねぇな。俺たちゃバーナマン警備社 のガードマンにたくさん会ったけどよ、あいつらよりも役立たずなんてこたぁあ りえないね」 ハリー :「ありがとうよ、ヘイズ」 ハリーは微笑んで、ヘイズに握手を求め、カーリーとも握手をした。 ヘイズ :「いいってことよ」 ハリー :「とんだびっくり箱だな、お前らにこんなとこで会うなんて!」 追っ手はまだ走りつづけている。 ハリー :「なぁ、おまえらはこの腐った世の中で唯一の真の友達だよ」 カーリー:「俺がお前さんだったらそうは思わないね、ハリー。世の中はもっと 腐っていくかもよ」 ハリー :「そうかもな、確かに・・・」 ![]() ヘイズとカーリーは追っ手の馬の音を聞きつけた。3人は貨車のドアのところに 移動して外を見た。一隊は電柱の近くで止まり、一人が馬を降りて電柱に登り始 めた。 カーリー:「ヘイズ、あいつ何やってる?」 ヘイズ :「電柱に登ってるのさ」 カーリー:「そりゃ見りゃわかるよ。でもなんで?」 ハリー :「もしやつがちゃんとした技術を持っていれば、あすこから電報を打 てるんだよ」 カーリーは面白くなさそうにドアを滑らせて閉めた。 カーリー:「それじゃあ、やつらと3・4キロ離れたら飛び降りるってのはどう ?」 ヘイズ :「馬もなしでか? 水もねんだぜ? おまけにやつらが電報を打って るのは一番近い町だろ?」 カーリー:「そうだけどさ、30分後にこの汽車もそこに着くんだろ? リトル ・グランデって町だよ。少なくても今はやつらよりずっと先を行ってるわけだし 」 ヘイズ :「キッド、この国のこの辺りの土地を最初に見たアメリカ人は人が生 きれるとこじゃねぇって言ったんだぜ。そいつの言ったことは確かに正しいよ」 ヘイズは貨車の中を歩き回った。 ヘイズ :「それに俺たちはどっちにしろ飛び降りられやしねぇよ。あっという 間にお縄さ!」 ヘイズは指を鳴らした。ハリーは箱の上に座り、帽子で扇いでいる。突然、ヘイズがハリーの方を振り返った。 ヘイズ :「ハリー、おまえまだバーナマン警備社の証明書を持ってるか?」 ハリーは疑り深そうな顔でヘイズを見て、カーリーを見て、またヘイズに戻った。立ち上がり、木枠の所に歩いていき、その上に座った。 ハリー :「いや、ない。ないよ」 ヘイズ :「なぁ、ハリー・・・」 ヘイズは動いてハリーの横に立った。カーリーがその後ろにいる。 ハリー :「ああ、持ってる、持ってるよ。あいつら取り返そうとしやがったが 、俺はなくしたと言い張ったんだ」 カーリー:「やつらもおまえさんの言うことを信じたんだな。そうだろ、ハリー ?」 ヘイズ :「ハリー、そのかばんに剃刀、入ってるか?」 ハリー :「剃刀?もちろん持ってるよ。持ってるとも」 ヘイズはハリーのかばんから剃刀を掘り出した。 カーリー:「ヘイズさんよ、あんたは天才だよ!」 ハリー :「おい、何だっていうんだ?」 汽車がリトル・グランデに着くまでの間に、ヘイズはハリーのひげを剃った。ハ リーはなんと長袖のシャツ一枚といういでたちである。カーリーはといえば、ハ リーのコートとズボンにブラシをかけ、ハリーの帽子をきれいにして靴を磨いて いる。 汽車はリトル・グランデ駅に着いた。タンカースレー保安官に引き連れられた一 グループが汽車をチェックしている。貨車を通る時は下も覗いている。保安官は ヘイズとカーリーそしてハリーが乗っている貨車の横に来たとき、3人はドアを 開けた。 ハリー :「よぉし、お前達。出るんだ」 ヘイズとカーリーは手を上げて貨車から飛び降りた。二人とも丸腰である。保安 官と助手達が集まってきた。そしてきちっとした身なりの、きれいにひげを剃っ たハリー・ブリスコーが現れ、貨車のドアのところで座った。彼のリボルバーは ヘイズとカーリーを狙っていて、二人は下を向いている。
保安官 :「こりゃあ、一体どうなってるんだ?」 ハリー :「やぁ、保安官。ハリー・ブリスコーここにあり! バーナマン警備 者の精鋭である。こいつらは私の獲物だからな、保安官」 ハリーは保安官に証明書を手渡し、保安官はそれを調べてからハリーに返した。 保安官 :「俺の獲物だと? お前、こいつらが誰だか知ってるのかい?」 ハリー :「ああ、知っているとも! もう3ヶ月も追っていたんだからな。数 日前に見失ったが、こいつらがこの汽車にあやまって乗ってきたのだ。で、私が 捕まえたのだ」 保安官 :「誰だと聞いているんだ」 ハリーは飛び降りて保安官に小声で言おうとした。 保安官 :「隠すこたぁない。俺らはこいつらが誰だか知ってる。お前はどうな んだ?」 ハリー :「保安官。バーナマン警備社の精鋭が誰だか知らずに逮捕するなんて ことがあるはずがなかろう。こいつらはハンニバル・ヘイズとキッド・カーリー である。私は一人でこいつらをワイオミング州まで連行するところなのである。 」 ハリーは言い終わらないうちにガンを保安官に向けたが、保安官はその銃口をヘ イズとカーリーの方に向けさせた。 ヘイズとカーリーはお互いに手錠をかけられ、リトル・グランデ駅の乗り合い馬 車の横にハリーと一緒に立っている。 カーリー:「ヘイズさんよ、保安官もう15分も電信局にいるぜ。きっとハリー の身元を調べてるんだ」 ヘイズ :「それか行く予定だったチェイエンの保安官に言ってるか、だな」 カーリー:「それって15分もかかんの?」 ハリー :「もし奴が俺のことを調べてるんなら、俺たちみんな困ったことにな るぞ。そして俺は・・・」 カーリー:「シッ、黙って」 保安官とワームサー副保安官が電信局から出てきた。 保安官 :「ブリスコー、ワームサー副保安官をお前と一緒に連れて行かそうと 思うんだがな。たとえ手錠をして丸腰でも、こいつらは危険だ」 ハリー :「保安官、もしあんたがバーナマン警備社のガードマンだったら、こ のハリー・ブリスコー同様・・・」 保安官 :「バーナマン警備社は自分たちのことを連邦政府の警官隊だと思って いるようたがな。違うんだよ。公式の資格なんかねぇんだ。さて、賞金はあんた らのもんかもしれねぇが、責任は私にあるんだ。(ワームサーに)お前の手錠を 使え、ワームサー」 ワームサー:「わかりました、保安官」 ワームサーは自分の手錠を出してヘイズにかけた。 保安官 :「わかってるな、ワームサー? お前がチェイエンの務所にこいつら を放り込むまでは俺の責任なんだ」 ワームサー:「わかってます」 ハリー :「よし、では行こうか」 男達は馬車に乗り込んだ。保安官は馬車が出て行くのを見ていた。 馬車は砂漠を走っている。中ではカーリーとハリーが一つのシートに座り、ワー ムサーとヘイズが反対側のシートに座っていた。カーリーは向かいのヘイズと手 錠をかけられ、ヘイズはワームサーと手錠をかけられている。みんなうとうとし ていたが、ワームサーは一人ぶつぶつ文句を言っていた。 ワームサー:「これで明日の晩、教会の親睦会に出られないな」 彼はヘイズを起こすために手錠をぐいっと引っ張った。 ワームサー:「それで土曜日になるだろ、それから日曜日も・・・」 カーリーは顔を上げ、帽子を直した。 カーリー:「ワームサーさん、保安官が俺たちの評判がどんなか言ってたろ?」 ワームサー:「ああ」 カーリー:「なぁ、もし俺たちが原因のこの面倒についてぶつぶつ言うのをやめ なかったら、力ずくででもやめさせるぞ。わかったか?」 ワームサー:「いや、俺が言いたかったのは、もし保安官が送ったあのいまいま しい電報の返事をもらってたら俺はここにはいなかったかもってことだよ」 ヘイズ :(驚いて)「なんの電報?」 ワームサー:「このブリスコーについての電報だよ。(ハリーに)保安官はバー ナマン警備社に電報を打ったんだ、あんたがこいつら二人を自分ひとりでチェイ エンまで連れて帰るほど優秀なのかどうかを確かめるためにね。でも返事はもら えなかった・・・少なくとも待ってる間にはね。だから俺はここにいるってわけ 」 ハリーとカーリーとヘイズは顔を見合わせた。 タンカーズレー保安官率いる追っ手が馬車のあとをつけている。 カーリーはハリーの脚を膝で強く突付いた。ワームサーは気付いていない。ハリ ーはカーリーを見たが、カーリーはハリーをじっと見つめている。カーリーはま た強く突付いた。ヘイズもハリーを見ている。ハリーは必死で考えた。こいつら は俺に何を言おうとしているんだ? ある考えがハリーの頭に浮かんだ。彼は窓 の外に頭を出して外を見てみたが後ろからは何も追ってきていなかった。 ハリー :(御者に向かって)「速度を上げろ! 後ろに砂煙が見える。地獄の 穴一味かも知れんぞ!」 ワームサーは窓の外に顔を出して外を見た。彼には何も見えず、また座りなおした。 ワームサー:「砂煙なんてないよ。後ろには何にも見えなかったぞ?」 ハリー :「俺は見たんだ! これがバーナマン警備社の特別な資格のひとつさ 。視力の良さ。普通の視力じゃ充分ではないのさ」 ワームサーはまた見てみた。今度は彼にも遠くに砂煙が見えた。 ワームサー:「なんてこった、後ろから何か来るよ!」 驚いてハリーはまた頭を出した。確かに砂煙が見える。ハリーはどうなっている んだろうと考えながら座りなおした。 ヘイズ :「さて、世間で言うようにお前さんたちバーナマン警備社のガードマ ンが頭がいいかどうか、見ものだね」 ワームサーは再び後ろを見た。 カーリー:「ウィートとカイルならやってくれると思ってたよ」 ヘイズ :「残念だが、キッド、このブリスコーさんは何かいいことを思いつく かもよ」 へイズはハリーを見た。 カーリー:「わかんないねぇ、ヘイズさんよぉ。バーナマン警備社なんてたいし たことないんじゃないの?」
ハリーは二人がまた何かを言おうとしていることが分かって、必死で考えた。そ
してある考えが浮かんだ。
ハリー :(ワームサーに)「この近くに牧場はあるか?」 ワームサー:「あるよ。ここはサークルY郡なんだ。あと4〜5キロ行ったら彼 らの道を通ることになるんだ」 ハリーは窓から体を出して御者に向かって叫んだ。 ハリー :「もっと鞭を打て! もっと走るんだ! 俺たちは追われているんだ ぞ!」 御者は馬に鞭を打ち、馬車は速く走り出した。 カーリー:(ため息混じりに)「何か思いつくとは思ってたけどよ」 追っ手はまだ必死で追ってきている。 馬車はサークルYの道で止まった。ここには「門」があり、二つの背の高い柱に 看板が掲げてあり、「サークルY」という文字と、丸印の中にYの文字のある焼 き印が見える。道はその門から大通りに続いている。ハリーは古臭い旅行かばん を片手に持ち、もう片方の手にはリボルバーを持って飛び出した。ヘイズとカー リーはお互いにまだ手錠をはめられたまま這い出てきた。ハリーはワームサーを 馬車に残したままドアを閉め、御者に向かって叫んだ。 ハリー :「出来るだけ奴らの前を走り続けろ! さあ、走るんだ!」 ワームサー:(窓から体を乗り出し、ハリーに)「ちょっと待てよ、ブリスコー さん。俺はあんたとこのならず者達と一緒にいないといけないんだぞ」 ハリー :「もうあんたには説明しただろ! 時々頭を出すんだぞ、でないとギ ャング共にやられちまうぞ! この馬車が空だってことを知られてしまうんだ! (御者に)さあ行け! 行くんだ、早く!(ヘイズとカーリーに)走らせるんだ !」 馬車は走り去っていった。ハリーとカーリー、ヘイズはサークルY牧場に向かっ て走り出した。 ハリー :「どうだい、おまえら?」 カーリー:「やるじゃない! 行こうぜ!」 ヘイズ :「なのに警備社はあんたを役立たずだってクビにするんだもんな」 追っ手は走りつづけ、サークルYの道を過ぎてもまだ馬車を追っていた。 ヘイズとカーリーはうしろからハリーにリボルバーを突きつけられてサークルK 牧場の本拠地に着いた。何人かが外にいた。牧場主と、彼の十代の娘が二人、そ して牧場の雇い人数人である。 牧場主 :「おい、見ろよ! 一体何がやって来たんだ?」 ハリーは旅行かばんを地面に下ろし、コートのポケットから証明書を取り出して 彼らに見せた。 ハリー :(息を切らして)「ハリー・ブリスコーここにあり! バーナマン警 備社のものだ。この囚人を馬車でチェイエンまで連れて行く途中でギャング共に やられそうになってね。でも撒いてやったんだ」 女の子達はヘイズとカーリーを暖かい歓迎の眼差しで見ていた。 妹 :(姉にささやいて)「あの人たち、ハンサムじゃない?」 ハリー :「馬車から飛び降りて、その馬車をおとりに使ってギャング共を撒い て、そしてここに助けを求めてやってきたんだ」 牧場主 :「そりゃあ、大変なこったな。おれに何ができるかね、ドリスコール さん?」 ハリー :「ブリスコー。ハリー・バーソロミュー・ブリスコーだ。あんたに頼 みたいのはだな、3頭の馬だ。そうすりゃ出発できるからな。もちろん、警備社 が馬と引き具代を弁済する。私は署名をした受取書を送るよ」 姉 :「あの、あなた方はどなたですか?」 ハリー :「聞かない方がいいですよ、美しいお嬢さん。こいつら二人が誰だか 知らない方が身のためです。」(牧場主に)「それと、ちょっと急いでるんでね」 牧場主 :「だがな、もしあんたらに3頭の馬と引き具を渡すんなら、誰を吊る す助けをするのかはしっておきたいもんだな」 ハリー :「そうか、馬は必要だしな。実を言うと、この二人はハンニバル・ヘ イズとキッド・カーリーなのだ」 みんなかなり驚いた、特に女の子達は。 牧場主 :「そりゃあ、急ぐわけだ! お前ら、馬にサドルをかけろ! お前は 食べ物を少しもってこい。道中食べれるようにな」 男達は散らばって言われたとおりにした。 妹 :(ヘイズに)「あなた本当にキッド・カーリーなの?」 ヘイズ :「いいや、でもこいつがそうなんだ」 姉 :(カーリーに)「あなた、ほんとに評判通りのガンの名手なの?」 カーリー:「そうだな、ガンを貸してくれたら証明できるんだけどな」 女の子達はクスクス笑い、牧場主も声を上げて笑った。 追っ手は馬車に追いつこうとしている。ワームサーが頭を突き出して、また後ろ を見ている。突然、彼はタンカーズレー保安官に気付いた。 ワームサー:(御者に)「おいビル! ありゃ保安官だよ! 止まれ、止まれっ て!」 馬車が止まった。 保安官 :「囚人達はどこにいったんだ?」 ワームサー:「それが・・・保安官達のことを勘違いして・・・」 保安官 :「ワームサー・・・囚人達はどこだと聞いてるんだ」 ワームサー:「サークルYの道でやつらを下ろしたんです、保安官。俺もブリス コーも、保安官達を地獄の穴一味だと勘違いしたんです」 保安官 :「馬車に残れ、ワームサー。チェイエンに行くんだ。二度と戻ってく るな」 保安官と追っ手は方向転換をして今来た道を戻っていった。ワームサーはまた馬 車に這い戻った。馬車が動くと、ワームサーは自分のベストに付いているバッジ を見た。そのバッジを外し、そして外に投げ捨てた。 ハリー、ヘイズ、そしてカーリーは新しい馬に乗り、北に向かっていた。二人と ももう手錠はしてない。カーリーが先頭を走り、そのすぐ後をヘイズが続く。ハ リーはその少し後にいる。坂を上りきるとカーリーは手綱を引いて馬を止め、振 り返った。ヘイズも同じように止まった。ハリーが追いついてくる。 カーリー:「撒いたか?」 ヘイズ :「たぶんな」 カーリー:「よっしゃ、じゃあ南に向かおう」 ハリー :「南ぃ?」 カーリー:「そうさ。チェイエンは北で、一番近い線路は南なんだよ、ハリー。 なにか質問は?」 ハリー :「南のほうがいいようだな」 3人は南に向かって走り出した。 タンカーズレー保安官と一行はサークルY牧場に着いた。 カーリー、ヘイズ、そしてハリーは馬が走れる限りの速さで南に向かっている。 牧場主と二人の十代の女の子達と牧場の雇い人数人が牧場にいる。 牧場主 :「で、ブリスコーがやつらに手錠をかけて見張ってたよ。おれが思う にブリスコーは言ってた通り、やつらをチェイエンに連れて行ってるんじゃない かな。あの男はなかなか腕利きに見えたぜ」 姉 :(指差して)「あっちの方向に行ったわ、保安官、北に向かってたわよ」 妹 :「あの二人、ほんとうにハンニバル・ヘイズとキッド・カーリ−なの?」 保安官:「違うと言いたいんだがね。みんな、行くぞ」 彼は馬を回らせ出発し、一行もそれに続いた。 カーリー、ヘイズ、そしてハリーはまだ南に向かっている。 追っ手は後を追っている。保安官は三人が南に向きを変えたところを見つけ、そ の跡を調べるために止まった。 保安官 :「やつら、南に向かったぞ。ピート、俺は町に戻る。おまえは皆と一 緒にいるんだ、やつらが鉄道に向かうかもしれんからな。ジム、お前とオーエン は俺と一緒に来るんだ」 一行はバラバラになった。保安官は二人と一緒に町に戻り、残りは3人の後を追 った。 カーリー、ヘイズ、そしてハリーは並んで走っている。突然カーリーの馬がいな ないた。カーリーは馬を止め、地面に下り、馬の左のひづめの前方を調べた。 カーリー:「こいつのひづめ、かなりひどいな・・・置いていくしかないか」 ヘイズ :「来いよ、俺の馬に乗れって。なんとかなるさ」 カーリーはヘイズの後ろにまたがった。馬は大股で走り出した。 保安官がいない方の一行はまだ3人を追っている。 カーリー、ヘイズ、そしてハリーは馬を並足で進ませている。 ハリー :「絶対だ、やつらは俺たちに追いつくにきまっている。俺は逃亡幇助 の罪でブタ箱に入れられるんだ。絶対にそうだ」 追っ手はまだ駆け足で進んでくる。 ハリー :「俺はあの貨車に座っていたんだ、居心地もよくて、自分の心配だけ していればよかった・・・カリフォルニアに行くつもりだったんだ。サンフラン シスコの警察に仕事の当てがあってな。それが前科者になっちまうなんて・・・ 」 カーリー:「ハリー、あと一言でも言ってみろ、俺はお前の馬をぶん取ってお前 をここに置いていくぞ、やつらにつかまるようにな。覚えとくんだな」 ヘイズ :「それともうひとつ。もし俺たちがいなかったらだな、おまえさんは 窃盗の罪でブタ箱に入ってたんだよ、6ヶ月も前にな。もちろん、おまえさんは そんなこと思い出したくもないだろうがな」 ハリー :「なあ、お前達! 俺はただ、だな、お前達の気分を盛り上げようと しゃべりつづけてただけなんだよ。お前達をどうこうしようなんて気はないんだ よ。わかってるだろ、な?」 カーリー:「ハリーさんよ、やっとものわかりがよくなったみたいだな」 遠くに機関車の汽笛の音が聞こえた。 カーリー:「どうやら、なんとか汽車に乗れそうだな、でも行き先が違うようだ ぜ?」 ヘイズ :「少なくても動いてるんだ、キッド。動いてる限り、行き先はどこで もいいんだ」 ヘイズは馬を早く走らせた。 ハリー :「お前達! あの汽車に乗ったら、またリトル・グランデに舞い戻っ てしまうぞ!」 カーリー:「ハリーさんよ、あんたの馬を貸してくれるってのか? そうすりゃ 俺たちは汽車には乗らなくてすむんだ」 追っ手はまだ走りつづけている。 ヘイズとカーリー、そしてハリーは線路まで来た。汽車はそこまで来ている。 追っ手はまだ走りつづけている。 ヘイズとカーリー、そしてハリーは馬を降りた。ヘイズは2頭の馬を追い立て、 3人は藪の中に隠れた。汽車が通り過ぎようとしたとき、ドアの開いている貨車 に向かって3人は走った。ハリーは自分の旅行かばんを放り込んだ。カーリーが よじ登って貨車に入り、ハリーを引っ張りいれた。ヘイズはドアの端をつかんで 中に入った。中からカーリーがドアを滑らせて閉めた。 マギーフ:(3人の後ろから)「手を上げろ。こっちを向くんだ」 3人は手を上げ、後ろを向くとそこにはマグズ・マギーフとハンク・シルバーズ がいた。二人は貨車の端の壁にもたれかかり、帽子を斜めにかぶってガンを向け ている。 カーリー:「なんで俺たちにガンなんか向けてるんだ、おまえら? 俺たちが丸 腰だってことは見りゃわかるだろ」 ヘイズとカーリーが丸腰なのは明らかだった。腰のホルスターがからっぽなのは 見ればすぐに分かる。ハリーも同じように丸腰に見えたが、彼はホルスターを肩 からかけていた。彼のリボルバーは見えなかったのである。 マギーフ:「お前ら、だれだ?」 ヘイズ :「こいつと俺の二人は仕事にあぶれたカーボーイなんだ。(ハリーを 指して)こっちはスリック・マクシーニー。賭博師なんだよ、見ればわかるだろ ? 俺たちここからちょっと北の炭鉱町で有り金すっちまって」 シルバース:「最後の一組をいかさましたのを見つかったんだろ?」 ヘイズ :「やつらはそう思ったのさ、ありゃあ、ひどかったな」 カーリー:「座ってもいいかしら? いいって言ってくれたらありがたいんだけ ど」 マギーフとシルバーズは前に進んできた。 マギーフ:「椅子をとりな」 マギーフはカーリーに向かって木枠を蹴った。カーリーは貨車の壁に近いところ にその木枠を置いてその上に座った。 ヘイズとハリーは床のわらの上に座った。 シルバーズ:(不機嫌そうに)「なぁ、カーボーイってのは親しみが湧く、俺た ち自身も仕事にあぶれたカーボーイだからな。でも賭博師ってのは気にいらねぇ な」 ハリー :「賭博詐欺師なら仕方ないが、おれはそうじゃないんだ。まっとうな 賭博師なんだぞ」 シルバーズ:「まっとうな賭博師なんていねぇよ」 ヘイズ :(笑いながら)「なぁ、スリックはいかさまをしようとしたんだけど よ、心が許さなかったんだ。だからここで俺たちと同じように落ち込んでるのさ 」 マギーフとシルバーズはヘイズとハリーの反対側に床に座っている。 カーリー:「どこまでいくの?」 マギーフ:「リトル・グランデまでだ。行ったことはないんだが、でも親切ない い町だって聞いたからよ」 ハリー :「ああ、親切ないい町だ。この二人に対して以外はな」 ハリーは親指でヘイズの背中を突付いた。 ハリー :「こいつら、先月もめ事を起こしてな・・・保安官と。あそこに着く 前にこの汽車から飛び降りなきゃならんのだ」 ハリーはまだ親指でヘイズを突付いている。ヘイズはその意味を一生懸命考えて いたが、やはり分からない。カーリーは何も気付いてはいなかった。 ハリー :(カーリーとヘイズに)「町まであと15キロってところにある岩を 覚えてるか?」 カーリー:「覚えてるよ、あの岩だろ。それがどうした?」 ハリー :「お前ら、あそこで飛び降りろ。俺はリトル・グランデに行ってお前 らのために馬を用意してくる」 ヘイズ :「なぁ、自分が何しようとしてるかわかってんのか、スリック?」 ハリー :「この汽車に乗ったままリトル・グランデまで行ってもお前ら大丈夫 だと思うのか?」 カーリー:「いいや。あんたは?」 ハリー :「もちろんだとも。あそこでは気に入られていたからな」 カーリー:「気に入られてた、だって!?」 ハリー :「別に嫌われてはいなかったぞ。お前らよりはましさ」 カーリーとヘイズは顔を見合わせた。リトル・グランデは確かに避けたほうがい い町だ。しかしそれはハリーにもあてはまる。 カーリー:「なぁ、スリック。俺が思うにおまえさんも・・・」 ヘイズ :「いや、多分・・・恐らくこいつが正しいよ」 カーリー:「お前ら二人とも頭がどうかしちゃったんじゃねぇのか?」 マギーフ:「あんたら、リトル・グランデで何があったんだ?」 ヘイズ :「平和を乱したってとこかな。(立ち上がってカーリーをちらっと見 て)この友達がよ、酒の問題を起こしたんだ」 シルバーズ:「ほんとか? どんな問題だ?」 ヘイズ :「こいつは飲むと・・・飲むと自分をキッド・カーリーだって思い込 んじまうんだよ」 マギーフとシルバーズはカーリーを見て声を上げて笑った。カーリーは二人を睨 んで、それからヘイズを見た。 汽車は大きな岩の近くまできた。 ヘイズ :「じゃあ、お別れだな、スリック」 カーリーはドアを引いて開けた。マギーフとシルバーズは二人の後ろに立って見 ていた。ヘイズが飛び降りた。カーリーも飛び降りた。二人は地面に叩きつけら れて、砂埃が舞いごろごろと転がってから立ち上がった。汽車が走り去っていく と二人は岩と茂みに向かって走った。汗と埃まみれになりながら二人は木にもた れて座り、息を整えている。 カーリー:「なあ、教えてくれよ。ここで俺たち何してんだ?」 ヘイズ :「ハリーは一つのことだけは正しかった。やつらはリトル・グランデ であの汽車を探すだろう。俺たちは飛び降りるしかなかったんだよ」 カーリー:「そりゃそうだけど、でも町から15キロも離れたとこで飛び降りな きゃならなかったのか? 水も馬もねぇのに15キロだぜ・・・食い物なんて言 わずもがなだよ」 ヘイズ :「よぉ、ハリーには何か考えがあったんだ」 不気味なほどの静かな眼差しでカーリーはヘイズを見た。 カーリー:(疑惑の目で)「ハリーに何か考えがあっただと? お前ほんとにそ う言ったのか?」 ヘイズ :「なぁキッド、あいつは話してる間ずっと俺の背中を親指で突付いて たんだ」 カーリー:「それがお前の答えか? それだけ?」 ヘイズ :「ああ、それだけ」 カーリー:「ヘイズさんよ、俺はお前さんの頭に頼ってんだぜ。お前を信用して んだ。それなのに、ハリーがリトル・グランデに着いたらとっ捕まってブタ箱に いれられちまうかもしれないって考えもしなかったのか?」 ヘイズ :(カーリーを見て同情を求めて)「いや、キッド。俺は・・・もちろ んそうかもしれないって思ったさ。でもそう考えるのをやめたんだ」 カーリー:「そうかよ、でもとにかく飛び降りようって思ったんだ」 ヘイズはしょんぼりして頷いた。 カーリー:「なぁ、あの保安官がよ、ちゃんと脳みそだって持ってそうなあいつ がよ、追っ手を二つに分けてリトル・グランデに戻ったってのはありえる話だろ うが?」 ヘイズ :「確かにそうだ」 カーリー:「リトル・グランデじゃあハリーは睨まれるに決まってんだろう? あの保安官がいるんだぜ」 ヘイズ :「キッドよ、俺、頭を落としちまったのかな。俺は・・・あいつはた だ・・・話してる間中ずっと俺の背中を突付いてたんだ、だから俺・・・あいつ に何か言い考えがあるんだろうって思って」 カーリーはヘイズをしばらく見ていたが、焼けるような砂漠に目をそらした。 ヘイズ :「よぉ、まったくもって・・・俺はバカだよ、うすのろのバカだよ」 カーリー:「そこがお前さんのいいとこなんだよ」 ヘイズ :「なぁキッド、俺さ、自分がどんなにダメなやつって思ってるか、お まえ知らないだろ? どんなに価値のない人間かってさ」 カーリー:「おまえ、俺たちが別れたほうがいいってのかよ? なんで? この へんのどっかに追っ手がいるんだ、今にも俺たち捕まっちまうかもしれねんだぜ ? 別れるにしても行くべき場所が決まってからにしよう、な? 場所は二つか もしれねぇけど」 マギーフとシルバーズは貨車の端の床に座ってカード遊びをしている。ハリーは 数十センチ離れた床に座って、貨車の壁によりかかっている。二人を見ながらゆ っくりとジャケットの中のホルスターに手を伸ばした。シルバーズがハリーのほ うを見ると、ハリーは胸を掻き、次に腿を掻いた。 茂みの中でヘイズとカーリーは地面に寝そべっている。 カーリー:「よっしゃ、考えようぜ。俺たちはハリーからの助けを期待できない 。だったらどうするよ?」 ヘイズ :「西に行く汽車を待つってのは?」 カーリー:「冗談だろ? 汽車はここをトップスピードで走ってくんだぜ・・・ 30キロか、40キロちかくの速度だ。腕なんて振り払われちまうよ」 ヘイズ :「じゃあ、暗くなるまで待って、それから町に歩いて戻るってのは? たかだか15キロじゃねぇか」 カーリー:「腕を振り払われる方がいいね」 ヘイズ :「言っとくぞ、キッド。もしお前が・・・」 馬の音が聞こえ、ヘイズは話すのを止めた。追っ手がゆっくりとやってくる、う ちに帰るところらしい。ヘイズとカーリーは腹ばいになり、追っ手が茂みの反対 側を過ぎていくのを待った。たった数十センチ離れているだけだった。 貨車の中ではマギーフとシルバーズが一勝負終えるところだった。ハリーはまた 胸を掻いている。 シルバーズ:「見せろよ。手はなんだ?」 マギーフ:「3のスリーカードだ」 シルバーズ:(怒って)「そりゃ3じゃねぇ、2だよ!」 マギーフ:「わかった、わかったよ。カードがぼろいからよくわからなかったん だ」 ハリーは自分のガンを取り出した。そしてマギーフとシルバーズが気付く前に二 人に銃口を合わせて打ち金を引いた。ハリーはガンを持って二人に近づき、手を 上げさせた。二人は言うとおりにした。 シルバーズ:「おい、どこでガンを手に入れた?」 マギーフ:「それに、それでどうしようってんだ?」 ハリー: 「お前ら二人を逮捕する」 シルバーズ:「何の罪だ?」 ハリー :「大泥棒の罪だ。お前はハンク・シルバーズで、そっちはマグズ・マ ギーフだろ? そして俺はバーナマン警備社のハリー・ブリスコーだ。この汽車 に乗ったときにお前ら二人には目をつけてたんだ」 汽車はリトル・グランデ駅に着いた。タンカースレー保安官率いる一行が汽車を チェックし、通り際には貨車の下も覗いた。保安官はハリーとマギーフ、そして シルバーズがいる貨車の隣まで来た時、ドアが開けられた。
ハリー :「よぉし、お前達。出るんだ」 マギーフとシルバーズが手を上げて貨車から飛び降りた。二人とも丸腰である。 保安官と助手達が集まってきた。そしてハリー・ブリスコーが現れ貨車のドアの ところで座った。彼のリボルバーはマギーフとシルバーズを狙ってる。 ハリー :「やあ、こんにちは、保安官。また私です。ハリー・ブリスコー、バ ーナマン警備社のガードマンです」 保安官 :「それは見りゃわかるさ、ブリスコーさん。でも信じられないね。よ かったら何をしているのか教えてくれないか?」 ハリー :「私の仕事ですよ、保安官。私の捕まえた囚人をみてもらいたいです な、マグズ・マギーフとハンク・シルバーズです。こいつら、大泥棒の罪でコロ ラド州で一人3千ドルの賞金がかかってるんです」 保安官 :「もしこいつらがマギーフとシルバーズだとしたら、このユタ州でも 殺人罪で手配されてるよ、コットンウッドで数日前に犯したんだ。(助手に)お まえら、こいつらをブタ箱に連れて行け」 助手はマギーフとシルバーズを捕まえてブタ箱に連れて行った。ハリーは後を追 おうとしたが、保安官が彼の腕をつかんで止めた。 保安官 :「あんたはいい、ブリスコー。ちょっと話があるんでね」 ハリー :「話? いいだろう、保安官。何を話したい・・・」 ハリーは振り向くと、保安官にリボルバーの銃口を向けたが保安官がそれをそら した。 保安官 :「ガンをしまえ」 ハリー :「わかりましたよ」 ハリーはガンを肩に吊るしたホルスターにしまった。 保安官 :「で、ヘイズとカーリーはどうした?」 ハリー :「それがだな、保安官。地獄の穴一味が私たちを捕まえようと後を追 ってきたんだ、それで・・・」 保安官 :「あれは俺だ、ブリスコー」 ハリー :「あんたが馬車を? そんなばかな」 保安官 :「ほんとだ。それに、お前は全部知ってたんだろ、そう思ってたんだ 」 ハリー :「知らんよ。知らん。後ろにいたのがあんただと知ってたら、なんで 馬車から飛び降りたりするんだ?」 保安官 :「お前は知ってて飛び降りたね」 ハリー :「そんな! とにかく、あいつら私を飛び降りさせたんだ。あんたが 言ってたことは正しかったよ、保安官。あれは危険な二人組みだ」 保安官 :「あいつらがお前を飛び降りさせただと? 手錠をかけられてたのに か?」 ハリー :「その通り。あいつら・・・あいつらは動きを合わせたんだ。あいつ ら馬から飛び降りて、私にとびかかったんだ。参ったよ」 保安官 :「どこでだ?」 ハリー :「ええと、そうだ、私たちが南に向きを変えた場所はわかってるだろ ?」 保安官 :「まあな」 ハリー :「あそこだよ、あそこでやられたんだ。そして保安官、あいつら私を 馬なしで放って行ったんだ。だから汽車に飛び乗った、そこでマグズ・マギーフ とハンク・シルバーズをふん捕まえたんだ、あの貨車の中でな」 保安官 :「こいつぁ面白い話だ、ブリスコー。つじつまも合うってもんだ、一 つのことをのぞけばな。どうしてヘイズとカーリーはあんたにガンを持たせたま まだったて言うんだ?」 ハリー :「それはあいつらがまず弾を全部抜いたからさ、保安官」 ハリーはガンを取り出し、保安官に弾が空っぽなのが見えるようにシリンダーを 回した。 ハリー :「ほら」 それを見て保安官は少し考えている。そこで保安官はもう一つ聞いてみることに した。 保安官 :「なぁ、ブリスコー、俺はバーナマン警備社に電報を送ったんだ。お 前のことを聞くためにな。返事をもらったが、それによるとお前は警備社ではも う働いてないって言うじゃないか?」 ハリー :(しばらく無理に笑って)「それが普通のやり方ってもんさ、保安官 。私たちガードマンを守るためのね」 保安官 :「一体全体、それがなんでガードマンを守ることになるんだ?」 ハリー :「私たちは常に身分を隠して動いている。わかるだろ? それが普通 のやり方だ。いろんな身元を語って働いているのだ。だから、もし私が電報を送 って、そして正しい暗号の文章を使ったとしたら、全ては明らかになるのではな いかな、保安官」 保安官はハリーを見つめ、そして彼の旅行かばんを手渡し、腕をつかんで引っ張 って行った。 砂漠ではヘイズとカーリーが茂みの中の木の幹に寄りかかっている。 ヘイズ :「俺たちの絶好のチャンスは東行きの汽車だな」 カーリー:「ああ、もし汽車が来るまで飢え死にしなきゃな」 リトル・グランデの電報局では、ハリーと保安官が電報技手がメッセージを送っ ている。ハリーは心配そうである。 ヘイズ :「おれ思うんだけど、ハリーは今ごろ何してんだろ?」 カーリー:「リトル・グランデのブタ箱にいれられてるさ」 ヘイズ :「俺にはまだハリーがブタ箱に入らずに俺たちを助けてくれるって気 がするんだよな」 カーリー:「そうだな。それがバカだってんだよ」 電報技手が返事を打ち出した。技手はずっと後ろで立っている保安官にそれを渡 した。ハリーは電報局の中でそれをずっと見ていた。彼は心配だったのだ。保安 官は彼の前にやって来た。 保安官 :(読みながら)「ハリー・ブリスコー他へ。マギーフとシルバーを捕ま えたことを長官に知らせた。賞金を請求した。デンバーにすぐ戻れ。おめでとう 」
保安官はハリーのポケットにその返事を入れた。
保安官 :「さて、お前が正しい暗号を知ってるということはわかった。あの6 千ドルのいくらかはもらえるんだろ?」 ハリー :「20%だ」 保安官 :「ってことは、警備社には80%残るってことだな」 ハリー :「そうだ、保安官。そういうことだ」 保安官 :「お前はついてるな、ブリスコー、ついてるよ。ヘイズとカーリーを 俺から奪っておいて、かわりにマギーフとシルバーズを連れてきた。大勢の人間 が、ヘイズとカーリーが鉄道を不幸にしたという理由で好かれている。一方マギ ーフとシルバーズはコットンウッドで犯したことでこの地域の全員が怒っている んだ。どっちにしろ俺はその分け前に関してはまったく関係ないけどな」 ハリー :「感謝してるよ、保安官」 保安官 :「感謝してる、だと? 俺がこれから何をしようとしてるかも知らん くせに。何をするか知りたいか?」 ハリー :「まあ、それが何であっても、とにかく感謝するよ、保安官」 保安官はハリーのジャケットをつかんだ。 保安官 :(怒って)「お前を行かせてやるよ。だがな、一番早い汽車で出て行 ってもらう」 ハリー :「感謝する」 保安官はドアをバタンと閉めて出て行った。 カーリー:「わかってるのか、ヘイズ、俺たち今までに夜に汽車に飛び乗ったっ て経験がないんだぜ?」 ヘイズ :「そうだな」 カーリー:「できると思ってんのか?」 ヘイズ :「あとで教えてやるよ」 カーリー:「まあ、運が向いてきて、明日の朝まで汽車が来ねぇかもしれないし な」 ヘイズ :「そこがお前さんのいいとこだよ、キッド。いつもものごとの明るい 方を見てる。俺はといえば、ここに座って今の深刻な状況を考えて込んでんだか らな」 汽車が一台、しゅっぽしゅっぽと音を立ててやってきた。ヘイズとカーリーは物 陰に横たわり、眠っている。汽車の汽笛で二人は目を覚ました。二人は飛び起き て、線路の近くまで走ってきた。そこで茂みの後ろにしゃがみこんだ。客車が通 り過ぎるとき、二人はハリー・ブリスコーの姿を窓の一つに見つけた。ハリーは 二人を見つけ、笑って手を振っている。カーリーとヘイズは全く信じられないと いうふうにハリーを見つめていた。客車が通り過ぎて、次に貨車が見えてきた。 二人は素速く動いて、かなりの速度で走っている汽車につかまるところがないか ないか探した。ヘイズはかろうじてはしごをつかむことが出来たが、体が激しく 左右に振られた。しかし彼はなんとかはしごの下の方に足を下ろすことが出来た 。カーリーも次の貨車のはしごをつかむことが出来たが、片手だったので激しく 左右に振られた時に手が離れてしてしまい、砂漠の砂の上にとばされてゴロゴロ と転がってやっと止まった。ヘイズは恐る恐る、カーリーが立ち上がれるかどう かを見ていた。カーリーは立ち上がらない。 ヘイズ :「キッド!」 ヘイズは少しためらったが、振り向いて地面を見た。彼は飛び降り、転がって、 そして立ち上がってカーリーに向かって走っていった。カーリーは全く動かない 。 ヘイズ :「キッド!」 ヘイズはカーリーのところまで来て、ひざまずいてゆっくりとカーリーを仰向け にした。 ヘイズ :「キッド、大丈夫か? おい、おいったら!」 カーリーは動かず、ヘイズは苦しげな表情で彼をじっと見ている。 ヘイズ :「そんな・・・そんなのってねぇよ!」 カーリーは動かずに横たわっている。しばらくするとカーリーは息を飲み込み、 2・3回まばたきをしてヘイズを見た。 カーリー:「どうしたんだ? 汽車から飛び降りたのか?」 ヘイズ :(ほっとして)「ああ、ああそうだよ、またもう一人のうすのろばか の俺に呪文をかけられちまってな、気が付くと熱い砂の上にいたんだよ」 カーリー:「ヘイズさんよ、そのうすのろばかとも仲良くしなきゃ」 カーリーは起き上がろうとし、ヘイズがひざまづくのを助けた。カーリーはまだ ふらふらしている。 ヘイズ:「キッドよぉ、俺なしでどうするつもりだ、え? そんなこと考えたこ と、あるか?」 カーリー:「時々な。ヘイズさんよ、もしお前さんがいなかったらよ、俺は今こ こにはいねぇよ。俺たちの事務所に戻ろうぜ。次どうするか考えなきゃ」 カーリーは立ち上がった。二人はあの茂みに戻っていった。 カーリー:(歩きながら)「でもよ、ヘイズ、やっぱり分かれたほうがいいかも よ、だって俺たち今まで人殺しはしなかったじゃない? でもそのうち俺は誰か を殺しちまうかもよ」 ヘイズ :「ハリーのオヤジかい?」 カーリー:「そう、ハリーのオヤジだ。あいつとっ捕まえて、この手で絞め殺し てやる」 ヘイズ :「いけないよ、キッド、そんなことしちゃあいけない。だってよ、こ の俺があいつをとっ捕まえるんだから。あいつを砂漠に連れ出して、頭だけ出し て埋めちまうんだ、顔に蜂蜜でも塗ってな。そんでもってアリの大群にくれてや る!」 二人は茂みにたどり着いた。 太陽が頭上でじりじりと照りつける。ヘイズとカーリーは木の幹に座っている。 喉はかわくし、お腹は空くし、疲れていて埃だらけだ。 カーリー:「ヘイズよ、今夜町まで歩いていって、何か食べるもんと水を調達し ようぜ」 ヘイズ :「それと馬と、な」 カーリー:「そうさ。やれるかな?」 ヘイズ :「やってみましょう」 カーリー:「そうね。もうどれくらい何も食ってないかわかる?」 ヘイズ :「食べ物はいいんだ、キッド。絶対に必要なのは水だよ」 カーリー:「そうか、水だって同じくらい長い時間飲んでないもんな」 ヘイズ :「その通り」 カーリー:「もう一日ここに座っててさ、それから15キロ歩けると思う?」 ヘイズ :「またツキが戻るかもしれねぇよ、キッド。ものごと明るい方を見な いとな」 夜。ヘイズとカーリーはリトル・グランデに向かって線路に沿って歩いている。 馬の音が聞こえたので、茂みに隠れた。馬に乗った少年が近づいてきた。鞍をつ けた馬2頭を引いている。ヘイズとカーリーは立ち上がって少年の前に立った。 ヘイズ :「そこで止まれ!」 カーリー:「この馬をどこに連れて行くんだい、ぼうや?」 少年 :「僕の馬だ」 カーリー:「なぁ、俺たちはそれが君の馬じゃないなんて言ってない。どこに連 れて行くのかって聞いてるんだ」 少年 :「僕はどこだかわかってるよ。当ててみなよ」 ヘイズ :「考えたけどわかんねぇな。どこだ?」 少年 :「とっても大切な人物に届けるんだ」 カーリー:「だれ?」 少年 :「言えない。とにかく、あんたらに僕を脅すことは出来ないね。だっ てガン持ってないもの」 ヘイズ :「さあ、そこだ。あすこの茂みが見えるだろ? あの中に俺たちの友 達がいるんだ。やつらはガンを持ってる。さて、この馬をどこに連れて行くんだ ?」 少年 :「言えないんだ。俺に金を払ってくれた人も大切な人なんだ。俺はそ の人にぬかりなくやるって約束したんだ」 カーリー:「その男って、もしかしてバーナマン警備社のハリー・ブリスコーっ てガードマンか?」 少年は少し笑った。 ヘイズ :「じゃあ、その馬は俺たちにだ」 少年 :「でもブリスコーさんはエミグラントの大岩に友達がいるって言って たよ」 ヘイズ :「そこにいたんだ。やっこさん、俺たちの名前を言った?」 少年 :「ああ、でもあんたらには教えない」 カーリー:「スミスとジョーンズじゃない?」 少年はもっと笑った。 少年 :「鞍の中に食べ物があるよ。水は水筒に入ってるんだ!」 ヘイズとカーリーは馬のところに行って水筒を取って水を飲んだ。少年は引っ張 ってきた馬の手綱をおろした。 カーリー:「ありがとうよ、ぼうや。ブリスコーさんもきっと君のことを誇りに 思うよ」 少年 :「ありがとう。でも、友達はどうするの? 向こうの茂みにいるんで しょ? あの人たちは何に乗るの?」 ヘイズ :「友達なんていないんだ、ぼうや。そこが問題なのさ。この腐りきっ た世の中で友達と呼べるのはハリー・ブリスコーだけだ」 少年 :「それはつらいね」 カーリー:「ああ、俺たちそのことだけは忘れないね。ところでさ、君がブリス コーさんを見たとき、ヤツは保安官と一緒だったかい?」 少年 :「その通りだよ。二人の人殺しを連れてきたんだ」 ヘイズ :「どの人殺し?」 少年 :「マグズ・マギーフとハンク・シルバーズさ」 ヘイズ :「ありがとよ、ぼうや」 カーリー:「もううちに帰った方がいい」 少年は馬の向きを変えて家に帰っていった。ヘイズとカーリーは馬に乗った。 ヘイズとカーリーは砂漠を馬で駆けている。二人の周りにはただ赤い砂があるだ けだ。 カーリー:「なぁヘイズさんよぉ、ここはほんとに美しいところだねぇ。ちょっ と止まってみない? 速すぎて何にも見えないよ」 ヘイズ :「お前さんの言うとおりだ、キッド。ちょっと時間を取ってぼーっと 見てみるか、この美しい景色をさ」 カーリー:「じゃあ、そのためにはゆっくり走らないとな?」 ヘイズ :「そうだな。こんな美しい場所を走り抜けるってのはほんとうに不道 徳な行為だ」 カーリー:「そう」 二人はペースを落とした。二人の前方に荷馬車が見えてきた。通りがかりに二人 は御者に挨拶した。 ヘイズ :「やあ」 二人はその御者に見覚えがあった・・・またあのマロニー・ステビンスだ・・・ そして彼の方も二人に気付いた。手綱を叩く音が聞こえ、馬は前の方に傾き、荷 馬車はがたがたいいだした。二人は振り返って荷馬車を見て、猛烈に走り去った 。ヘイズとカーリーは馬に拍車をかけ、疾走し始めた。輝けるほどの美しい景色 はまたもや無駄になってしまった。二人は走って走って走りつづけた・・・ Closing Theme and Credits |